日本草地学会誌
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本邦草地における火入れ温度の測定 : 第6報 火入れ温度の総合考察(2)
岩波 悠紀
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1972 年 18 巻 3 号 p. 144-151

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抄録
1.火入れが地面近接層の地温に与える影響の大きさは,(1)直接燃えた燃料の多少(2)燃え残った堆積腐植物量の多少および(3)延焼速度の遅速により著しく左右された。特に前二者の影響が大きかった。シバ型,ススキ型およびササ型草地における地面温度は,それぞれ10-80,30-170および5-48℃上昇した。しかし地温は地面附近で急速に低下し,地表下数cmの温度はほとんど変化が見られなかった。2.シバ型,ススキ型およびササ型草地における燃焼強度はそれぞれ11-155×10^6,45-710×10^6および200-1280×10^6であった。この草地型による燃焼強度の相違は,燃えた燃料の多少によるものであり,更に延焼速度や燃料の堆積状態による影響が大きかった。3.一般に燃焼強度の小さいような火入れでも,その草地の主要構成草種の地上器官は枯死する。しかし非常によく燃えた場合でも,地中の植物器官や害虫などに直接の影響を与えることはほとんないものと見られた。
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© 1972 著者
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