日本草地学会誌
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クロロフィル量を指標とした牧草の物質生産の解析 : II.最大乾物生産速度,生長構成要素,個葉光合成能力の季節変動とクロロフィル含量との相関関係
大久保 忠旦川鍋 祐夫星野 正生
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1975 年 21 巻 2 号 p. 124-135

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抄録
植物群落の物質生産過程の指標として,葉面積指数(LAI)の代りに,土地面積1m^2当りのクロロフィル量(クロロフィル指数,CI,g/m^2)を用いる,という第1報の試みに対して,葉身の光合成能力とクロロフィル含量(葉面積当り,ChA mg/dm^2)との比例関係の有無が問題とされた。アルファルファとラジノクローバの純群落において,季節別再生長にともなう乾物生産の推移を生長解析法によって追跡し,最適LAIの時期の生長構成要素と最大乾物生産速度(_<max>CGR),純同化率(NAR)との間の相互関係をみようとした。1._<max>CGRとの間に高い相関を示したのはChA,C/F比,日射量,平均温度であったが,とくにChAが最高であった。NARに対してもChAが最も高い相関を示した(表2)。2._<max>CGR,NARに対し,他要因の影響を除いた場合,すなわち偏相関をみたところ,ChA,吸光係数(K),比葉面積(SLA)の順で,ChAとKがとくに高かった。NARの場合もChA,Kが高かった。また,ChAは日射量との間にも高い相関を示した。3.圃場の群落から採取した葉身について,強光下の光合成速度とChAを測定したところ,夏季に群落上層で発育した葉身が,光合成速度(40〜44mg/dm^2),ChA(6.0〜7.Omg/dm^2)で最高であった。光合成速度と,ChAおよび葉面積重(SLW)との間に有意な相関があり,SLWよりもChAに対する相関のほうが高かった。光合成速度のChAに対する相関は,クロロフィル(a+b)のの場合よりもクロロフィル(a)の場合に,より高い値が得られた(表4)。4.最適LAIの時期のChAが,_<max>CGR,NARの季節変動と比例する事実は,群落葉身の平均葉令と受光歴の違いに基づく光合成能力の変動が,同時に起るChAの変動と比例関係にあることに起因すると推察した。それ故,群落葉身の平均的光合成能力は,ChAによって表現されうるものと考えられる。
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© 1975 著者
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