日本草地学会誌
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刈取回数および施肥がススキ草地の変遷に及ぼす影響
佐藤 徳雄酒井 博佐藤 庚
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1975 年 21 巻 4 号 p. 271-279

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抄録
施肥量および刈取回数をかえた場合,ススキ草地の乾物収量および粗蛋白質収量にいかなる影響をあたえるかについては,既に「半自然ススキ草地とオーチャードグラスーラジノクローバ混播草地の生産性の比較」という題で報告を行なった。以下の報告はススキ草地の収量を構成する草種について,施肥および刈取によって特徴的な動きを示したものに関する検討の概要である。1.草種数および1枠当り平均出現種数は1回刈区では次第に減少し,2回刈区・3回刈区では増加した。2.一般に,全乾物収量は刈取回数の多くなるにしたがって減少している。しかし,各刈取区とも多肥区ほど乾物収量は増加している。刈取によって乾物収量の減少した草種はススキ・ヤマハギ・オカトラノオなどであり逆に増加したものはワラビ・トダシバ・シバスゲ・ヒカゲスゲ・ヒメノガリヤスなどである。また,刈取によってススキおよびヤマハギの本数は減少したのに対し,ワラビの本数は増加したが,特に,2回刈区での増加が著しい。3.裸地率は多回刈区ほど少ないが,これは下繁草がな増加したことに原因している。4.嗜好性の低い草種の全乾物収量(主なものはワラビ)は2回刈区が最も多く,ついで3回刈区・1回刈区の順であった。5.1回刈区は乾物収量は多いが,飼料価値が低く,2回刈区は不食草が増加するので,飼料価値や嗜好性などを考慮した場合,3回刈区が有利であると思われた。
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© 1975 著者
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