牧草群落の最大乾物生産速度(_maxCGR)の季節や密度による変動は,最適葉面積指数とは無関係にクロロフィル指数(土地面積当りクロロフィル総量,CI)に依存していることを,前報で示した。本報では,内部要因としてのクロロフィル含量(葉面積当り,Ch_A)の影響をみるため,Ch_Aの異なる栄養系4種を材料として(Ch_Aの高い順にクローンG2>G1>Y2>Y1と名づけた),生長解析法により_maxCGR,NARと,Ch_A,CI,LAIその他の生長構成要素(第2報,純同化率NAR=(a-r)-r_n・SLW-R・(C/F)・SLW)との相互関係を調べた。3水準の栽植密度(高:H区,中:M区,低:L区)で各クローンごとに分げつを秋に移植し,多肥で栽培して単一クローンの群落をつくった。翌春,4月中旬〜5月中旬までの4週間,最適LAIの時期を中心に3回にわたって地上部,地下部の全乾物重,葉面積,クロロフィル含量を測定,また層別刈取調査も行なった。1.最適LAIは6〜11の範囲でクローン,栽植密度により大幅に変動した。Ch_Aは,G2で6.6〜6.9mg,ほY1で2.5〜2.8mg(a+b)/dm^2でクローンにより著しい差があった。Ch_Aの高い群落ほど最適LAIの幅が広い傾向がある(表2,図1)。2.約3週間の平均でみた_maxCGRは,最高のG2で27〜35g,最低のY1で9〜18g/m^2/日のように,クローンの間で大きな差があった。この_maxCGRの高低は,最適LAIの大小とは関連がなく,CIの大小に依存していた(表2,図1)。CIはG2のH区で8.4g,Y1のL区で2.4g/m^2にわたった。_maxCGRのCIに対する依存性は,_maxCGRのCh_Aに対する比例的関係に起因している(図2)。それはさらに,Ch_Aの高いクローンの群落ほど高いNARを示したためである。3._maxCGRに対して相関を示した構成要素は,CI,Ch_A,SLW,C/Fであったが,NARに対してはCh_A,C/Fのみであった。Ch_Aの相関係数が最も高かった(表4)。4.単位クロロフィル量当り純同化率(E^c)は,H区,M区では3〜5g,L区では6〜7g/g/日で,栽植密度により異なったが,クローンの間では,Ch_Aの差に比べむしろ差が小さく安定した値を示した(表3)。5.層別にみたとき,Ch_Aの高いクローンでは群落の下層の葉身でも,Ch_Aの低いクローンに比べて相対的に高いCh_Aを維持している傾向がみられた(表5)。6._maxCGRにおけるクローン間の差には,強光下と弱光下の光合成活性とともに,群落の下層でもCh_Aを高く維持できるような機能の違いも関与していたと考えられる。本研究は,文部省特定研究「生物圏の動態一植物生産過程の生理生態学的研究」(JIBP/PPレベルIII,門司班)の一環としてなされ,研究費の一部援助を受けた。
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