日本草地学会誌
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牧草地の動態 : 第2報 二,三の草地における牧草個体の分散構造
太田 顕
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1976 年 22 巻 1 号 p. 33-38

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抄録
牧草地植生の動態を明らかにするため二,三の草地において数種の草種の個体の分散構造の動きを検討した。1.個体の分散構造は,草地造成後しばらくは播種と発芽の不均一を反映して集中分布をするが,近接した弱小個体がより高い頻度で枯死することによって次第に均質化した。2.集中分布から機会分布への移行の時期は多肥や刈取間隔の長いことなど競争条件の激しいときに早まることを認めた。3.混播草地において,ある構成草種の分散構造は優占度とよい照応を示し,優占度の高い場合には機会分布をし,低い場合には集中分布をした。4.D区について草地の状態を分散構造によってみると,D-3区のオーチャードグラス,ペレニアルライグラスの分布は機会的で,草地はもっともよく,D-1区も古い草地ながら良好な状態が維持されている。D-2区はオーチャードグラス,ペレニアルライグラスの分布が集中的で,衰退の傾向にあると思われた。
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© 1976 著者
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