日本草地学会誌
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牧草消化能力に関するハムスターとハタネズミの比較研究
萬田 富治後藤 信男
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1976 年 22 巻 1 号 p. 52-57

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抄録

開花初期および開花期に刈取ったオーチャードグラスと着蕾期に刈取ったアカクローバの生草を用いて,採草地で捕獲した小型の草食獣ハタネズミと実験動物ハムスターによる消化試験を行なった。各牧草は擂砕後,基礎飼料と混合して給与した。消化試験は予備期5日間,本期5日間とし,全糞採取法によって行なった。ハムスターとハタネズミのメタボリックボデイサイズあたりの乾物採食量には差がなく,両種動物ともにアカクローバを好んで採食した。ハタネズミの増体量はアカクローバ給与群が最も大きく,オーチャードグラス給与群の増体量はアカクローバ給与群の半分にとどまった。ハムスターの増体量は,いずれの給与群もハタネズミよりもすぐれ,給与群間には差がなかった。乾物消化率はハムスターとハタネズミの間に差はなく,草種の比較では両種動物ともにアカクローバの乾物消化率がすぐれていた。CWC消化率はオーチャードグラス給与群の開花初期では両種動物間に差はなかったが,開花期ではハタネズミの方が高く,アカクローバ給与群ではハムスターの方がまさっていた。N消化率はオーチャードグラスの開花初期を除いてハタネズミの方が高かったが,N蓄積率はいずれの給与群でもハムスターの方がまさっていた。これらの結果から,ハムスターとハタネズミの牧草消化能力は大差ないものと推察された。

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© 1976 著者
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