抄録
1.オーチャードグラス草地の地域的な生産特性を気象生産力から明らかにするため,月別の平均気温と日射量とから気象生産力を簡単に知るための気象生産力表(第1表)を作成し,生産適温が16℃にあること,日射量が強いほど生産力は高まることを明らかにした。2.16℃で示される生産力を最大気象生産力(C^^^_<max>)とし,それと現実の月別気温のもとで示される気象生産力(C^^^_m)との差から高温と低温にもとづく生産力低下の季節的様相を緯度別,海抜別に明らかにした結果,高温に基づく生産力低下は低緯度,低海抜地域で大きくなる傾向を示すのに対して,低温に基づく生産力低下は逆の傾向を示した。3.年間の最大気象生産量と気象生産量はともに低緯度地になるほど増大する傾向を示した(第6図)が,最大気象生産量に対する気象生産量と適温以外の条件下でおこる生産量低下との比率は緯度によってほぼ一定値を示した(第5図)。4.適温以外の条件,すなわち高温と低温にもとづく生産量低下のうち,高温による低下割合は低緯度,低海抜地で増大する傾向を示し,高温指数と高い相関を示したが,低温による低下割合は高緯度,高海抜地でむしろ大きくなる傾向を示し,低温指数と高い相関を示した。5.緯度と海抜の気温減率を基礎にして,任意の地域におけるオーチャードグラス草地の年間の最大気象生産量,気象生産量,高温および低温による生産量低下の絶対値と相対値を緯度を基準にして推定できるようにした。