日本草地学会誌
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イタリアンライグラスにおける非構造性炭水化物の品種・個体間差異 : I.全非構造性炭水化物含有率と耐雪性
田村 良文星野 正生
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1979 年 25 巻 3 号 p. 171-177

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抄録

本研究では秋季自然条件下に生育した栄養生長期のイタリアンライグラスにおける非構造性炭水化物の含有率およびその特性の品種間,あるいは個体間における差異を明らかにすること,さらには非構造性炭水化物含有率を代表しうる形態的,あるいは生理的な指標の究明を前提として,非構造性炭水化物の含有率およびその特性と同草種の形態的,生理的形質との関連を追求することを目的とし,まず本実験では2倍体(2n)および4倍体イタリアンライグラス(4n)のそれぞれに耐雪性強と同弱の品種を選定し,品種の耐雪性と越冬前の茎の全非構造性炭水化物含有率(TNC%)の関連について,さらには,TNC%と2,3の形態,生理的形質との関連について検討を行った。2n,4nいずれにおいても耐雪性強の品種は同弱の品種に比較し,高いTNC%を示すことが認められた。非構造性炭水化物は積雪下での越冬中における基礎生活維持エネルギー源として,品種の耐雪性と密接にかかわりあっているものと考えられる。茎および葉身の乾物率また全窒素含有率は茎のTNC%とそれぞれ有意な正あるいは負の相関を示し,TNC%の指標としての可能性が認められた。同時に,TNC%に対する乾物率の回帰においては2nと4nが有意に異なった回帰常数を示したので,乾物率を指標とする場合には2nと4nを区別して取扱わなければならないことが明らかであった。乾重当り全窒素%については2nと4nの回帰式が併合された。2nにおいては葉積重とTNC%が有意な正の相関を示した。

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© 1979 著者
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