日本草地学会誌
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ラジノクローバー緑葉蛋白質抽出残渣のサイレージ原料としての特性
大島 光昭大内 清俊
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1979 年 25 巻 3 号 p. 260-268

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抄録

新鮮ラジノクローバーを3倍容の水とともに10l容のブレンダーで磨砕し,磨砕物を,2重ガーゼを敷いたバスケット式遠心分離機で,汁液と繊維残渣に〓別し,汁液は緑葉蛋白質濃縮物の調製に供し,繊維残渣は,そのままあるいは添加物を混合しためち,0.8l容のガラス瓶に500ずつ詰め込み,45日間,嫌気条件下で保存した.繊維残渣の水分およびWSC含量はそれぞれ,83〜88%(平均85%)および3.8%(乾物中,平均3%)であった.6回に亘る実験のいずれにおいても,無添加の繊維残渣からpH約4.2の良品質サイレージがえられた.一方,対照として約1cmに細断した原料クローバーから調製したサィレージは,乳酸含量がより高かったにもかかわらず,pHは4.5を下廻ることはなかった.グルコースを生重当り2%添加することにより両サイレージともpHは低下したが,その場合も繊維残渣サイレージの方が低いpHを示した.以上の結果は,繊維残渣調製時の窒素化合物および緩衝物質の除去および磨砕の影響のいずれかによるものと考え,緑葉蛋白質添加処理,クエン酸ソーダ添加処理,あるいは再抽出処理をした繊維残渣および磨砕したクローバーからもサイレージを調製し,それらの品質を,無処理の繊維残渣および細断したクローバーより調製したサイレージの品質と比較した.その結果,サイレージのpHは,蛋白質含量および磨砕処理に比し,緩衝物質の影響をより大きくうけることが推察された.

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© 1979 著者
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