日本草地学会誌
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サイロ開封後における牧草サイレージ中揮発性成分の経時的変化
木部 久衛粕谷 武司
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1979 年 25 巻 3 号 p. 251-259

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抄録

原料牧草の水分含量とサイレージ中揮発性成分含量との関係ならびにサイロ開封後における揮発性成分含量の経時的変化について調査を行った.すなわち材料牧草としてオーチャードグラスを用い,細切直後の高水分区,室内にて24時間予乾した中水分区,同じく36時間予乾した低水分区の3区を設け,いずれもポリ袋に詰めて排気密封を行い,室温にて70日間貯蔵した.サイロ開封時から14日後に至るまでのサイレージの品質について調査した結果,低水分サイレージのpH価は高ならびに中水分サイレージのpH価にくらべて低く推移し,また乳酸含量は逆に高くとどまった.水蒸気蒸溜によりサイレージ中からは多くの揮発性成分が検出されたが,これら揮発性成分の総量は高水分サイレージが,中および低水分サイレージに比較して多かった.なおサイロ開封時における高水分サイレージの揮発性成分としては,イソペンタノール,シス3ヘキセナール,βフエニルエタノール,4エチルグアヤコール,4エチルフエノールなどが,また中水分サイレージにおいては,イソペンタノール,βフエニルエタノール,4エチルグアヤコール,4エチルフエノール,リノレン酸エチルなどが,また低水分サイレージの場合は,イソペンタノール,βフエニルエタノール,リノレン酸エチルなどのピーク面積割合が比較的大きかった.またサイレージ中の各揮発性成分のピーク面積の全ピーク面積に対する割合は,サイレージの水分含量やサイロ開封後の時間的経過によりかなり異なった.

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© 1979 著者
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