日本草地学会誌
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粗飼料中の香気成分について
相井 孝允代永 道裕田中 博
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1980 年 26 巻 2 号 p. 215-222

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抄録
牛の採食および飼料選択に影響を与える香気成分を明らかにするため,ルーサン(Medicago sativa L.)乾草,イタリアンライグラス(Lolium multiflorum Lamark)およびいなわら(Oryza sativa L.)のヘッドスペースガスをTenax-GCにより捕集し,また,減圧蒸溜により香気成分を抽出し,GCあるいはGG-MSを用い分離同定を行った。3種類の試料から,28種の炭化水素,20種のアルコール,2種のエステル,7種のアルデヒド,6種のケトン,1種のラクトン,3種のフェノール,12種の酸,5種の硫化物及び5種のハロゲン化合物の分離同定を行うことが出来た。それぞれの試料の特徴的な香気成分は,ルーサン乾草の場合,リナロール,リナロールオキサイド,ゲラニオール,ベンジルアルコール及びメチルサリシレートであった。イタリアンライグラスの場合,ラウリン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,ヘキサノール,デカノール,硫化炭素,ジメチルサルファイドおよびジメチルジサルファイドであった。いなわらの場合,香気成分数も少なく,それらは他の2種類の試料のいずれかに含まれているものであった。また,ルーサン乾草のように高品質の飼料は香気成分の数も多く,かつ良い香りを持つ傾向があるように思われた。
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© 1980 著者
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