日本草地学会誌
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Festuca属における潜在的変異に関する研究 : II.トールフェスクの生態型にみられる諸特性の変異
杉山 修一高橋 直秀後藤 寛治
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1980 年 26 巻 3 号 p. 259-266

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抄録

主にヨーロッパ産のトールフェスク生態型19系統ならびにKentucky 31,ホクリョウの2品種を供試して,生理的,形態的形質を調査し,これら諸形質の変異と適応との関係を検討した。チュニジアの系統は,播種当年,短日条件が進んでも活発に生長し,多数の茎で出穂をみたが,越冬は極めて悪かった。9形質を用いて主成分分析を行なった結果,同一地域の系統は一群をなして分布し,草型,種子の大きさ,早晩性,季節生産性に関して,地域間にクライン的な変異がみられた。つまり,フランスやヨーロッパ・アルプスの標高1000m以下の系統から,イギリスの系統,リガリア地方の山岳地帯の系統,ヨーロッパ・アルプスの標高1000m以上の系統になるにつれ,1出穂茎重が重く,稈長が高い茎重型を示し,種子が小さくなって晩生化する傾向がみられた。

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© 1980 著者
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