日本草地学会誌
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イタリアンライグラスの採種における生長抑制剤の利用に関する研究 : I.Chlormequat,daminozide,ancymidolおよびdikegulacの処理効果について
門馬 栄秀鈴木 信治
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1980 年 26 巻 3 号 p. 267-272

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抄録

本試験では,生長抑制剤の利用によって作物を短稈化し,倒伏を防いで採種量を向上させること,また生長抑制剤は採種関連形質に作用を及ぼす働きをもつものが多いことから,このような採種関連形質を通じて採種量を向上させること等を狙いとした。供試生長抑制剤はchlormequat (CCC),daminozide (SADH),ancymidolおよびdikegulacで,処理濃度・時期はともに2水準で,早期(3月11日),晩期(3月28日),低・高濃度(高濃度は低濃度の倍)である。短稈化に有効な生抑長制剤はdikegulacだけであった。穂数はCCCの早期処理およびdikegulacの高濃度処理によって増加したが,特に後者において,その効果は顕著であった。一穂粒重と一穂粒数はCCCの早期処理およびancymidolのいずれの処理によっても増加したが,特にancymidolの早期処理において顕著であった。それに対し,dikegulacの高濃度処理は両形質を著しく減少させた。千粒重と一穂小穂数は他形質に比較すれば生長抑制剤の影響を受けにくい形質であったが,dikegulacの晩期処理は千粒重を,また早期処理は一穂小穂数を著しく減少させた。小穂当たり粒数の生長抑制剤による影響は,一穂粒数の場合と殆ど同様であった。生長抑制剤は,このような採種関連形質に作用して採種量に影響し,CCCおよびancymidolの早期処理は採種量を向上させ,dikegulacは採種量を著しく低下させた。SADHの高濃度処理は一穂粒数を増加させることによって,採種量を若干増加させたが,その効果はCCCやancymidolよりずっと低かった。本試験の結果から,CCCとancymidol処理による採種量の向上は期待されるが,実用化には更に検討する必要がある。

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© 1980 著者
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