抄録
1)トウモロコシ品種Pioneer 3715を個体密度,播種時期および施肥量を変えた組み合わせ条件下で栽培し,その反応を検討した。個体密度は6段階(3627〜13300個体/10a),播種期は2段階,早播(5月20日)区と遅播(6月20日)区,また,施肥量は2段階,すなわち,1個体あたり一定量施肥区および土地面積あたり一定量施肥区とした。2)地上部収量とTDN収量は,個体密度が高まるとともに増大し,特に,高密度,多肥条件下で高い値が得られた。3)葉面積指数は個体密度の上昇とともに高まり,最高密度区の全生育期間の平均葉面積指数(<LAI>^^^ whole)は,早播区では5.2,遅播区では4,3であった。また,<LAI>^^^ wholeの最適値は,5.78であると推定され,13,300個体/10以上の高密度まで生産量が増大する可能性が示された。4)成熟期(止葉出現時〜収穫期)の平均葉面積指数(<LAI>^^^ mat.)は,最高密度区で約9.0に達した。Opt.-<LAI>^^^ mat.は6.2と推定され,成熟期における最大生産速度は,8,500個体/10a前後で示されるようであった。また,雌穂生産量(早播区)も8,500個体/10a前後で最大となった。5)遅播区の地上部生産量は,早播区に比べて35%減少した。遅播区の場合,LAI mat.は早播区の場合とほぼ同等の値に達したが,成熟期間が短く生産量は低水準にとどまった。6)止葉出現時(栄養生長期の最終段階)の地上部重量と最終地上部重量とは,個体密度の上昇にともない,ほぼ平行して増大した。すなわち,栄養生長期における蓄積量の大小が最終収量を決定する重要な要因であり,収量を増大させるには,栄養生長期の生産量を増大させることが重要であると考えられた。