日本草地学会誌
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草類の可溶性炭水化物の生理化学的研究 : IV.オーチャードグラスの貯蔵炭水化物含有率および重合度に及ぼす施肥の影響
菅原 和夫伊沢 健
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1982 年 27 巻 4 号 p. 352-356

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抄録

オーチャードグラスを対照(N;0.8,P_2O_5;1.5,K_2O;0.7kg/a),3N,3P,3K,-N,-P,-Kの施肥条件で栽培し,秋季の貯蔵炭水化物の集積型と重合度からみた組成の変化を調べた。越冬直前の11月26日には,すべての処理区の牧草で非構造性炭化化物(NSC)含有率は40%以上に高まり,重合度の高いフラクトサンの比率が高くなるが,それ以前のものでは,処理による明確な差が認められた。-N区は,9月中旬からNSC含有率が高く,しかも高重合度のフラクトサンを蓄積した。3K区は,-N区にくらべNSCの含有率は低かったが,その組成は,-N区と同様に,早期から高重合度のものの比率が高かった。これに対し,3N区,-K区は,遅くまで低重合度のものの比率が高く,フラクトサンの重合に対する加里の関与が示唆された。また3N区の10月以降のNSC含有率は処理間中最も低かった。-P区,3P区は,対照区にくらべ,NSC含有率も高く,早期から高重合度フラクトサンの蓄積がみられた。気温・日長等の条件が同じでも栄養状態により,フラクトサンの重合度に相違が生じ,貯蔵炭水化物組成が異なることが明らかとなった。

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© 1982 著者
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