日本草地学会誌
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トールフェスクの実生時における競争力の系統間変異
杉山 修一高橋 直秀
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1985 年 31 巻 1 号 p. 26-33

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抄録

トールフェスクの実生時における競争力の系統間差異とそれに係わる形質を調査する目的で競争ダイアレルの試験を行なった。供試材料は,2品種(ホクリョウ,Kentucky 31)とヨーロッパ起源の自然集団3系統(Bn 501 ; Bn 501,フランス; Bn 759,ガリア山岳地帯; Bu 767,アルプス山岳地帯)である。同一日に発芽した,ほぼ同じ大きさの各系統の種子を38cm×14cm×10cm深のポットに3cm×3cmで交互に値付けた。1ポット当り,5畦×13個体で3反復乱塊法とした。80日間生育させた後,各個体の草丈,分げつ数,乾物重を測定した。同時に,各系統5個体を直径10cmのポットに,個体植条件で生育させ,同一時期に,地上部乾物重,根乾物重,分げつ数,根数を調査した。結果1).単播では,個体重に系統間差異がみられなかったものの,混播では競争効果に有意な系統間差異が認められた。競争力は,ホクリョウ>Kentuck 31>Bn 501>Bn 767>Bn 759の順となり,品種は自然集団より高い競争力を示した。2).競争力は,個体植条件下での地上部乾物重と正の高い相関関係を示したが,根乾物重との間には明確な関係は認められなかった。また,根数多い系統ほど高い競争力を示した。3).相補効果に有意が差がみられ,混播は単播より多収となった。これは,混播では草丈のばらつきが大きくなり,群落構造が改善され,光ェネルギーが有効に利用されるようになったためと考えられた。

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© 1985 著者
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