日本草地学会誌
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南西諸島における暖地型マメ科牧草の実用栽培に関する研究 : X.国頭および島尻マージにおける暖地型マメ科牧草の乾物生産量におよぼす燐および石灰施与の影響
北村 征生尾形 昭逸
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1985 年 31 巻 1 号 p. 59-66

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抄録

暖地型マメ科牧草Macroptilium atropurpureum cv. Siratro (サイラトロ)およびStylosanthes guianensis cv. Schofield (スコフィールド)を赤黄色土(国頭マージ,強酸性)では4段階のP×4段階の炭カル施与,赤褐色土(島尻マージ,アルカリ性)では6段階のP施与条件下で栽培し,得られた乾物収量を施肥により変化した土壌の理化学的性質との関係で考察した。結果:赤黄色土。サイラトロにおよびスコフィールドともにP施与量が増大すると乾物収量は増大したが,炭カル施与ではサイラトロの場合,400-800kg/10aの施与で乾物が増収し,P施与との相乗効果も認められた。スタイロの場合は,炭カル施与によって乾物収量が低下するため,200kg/10a程度の施与量にすべきと考えられた。土壌中の可給態Pは,Pおよび炭カル施与によって増大したが,炭カル施与により土壌pHが7以上になると減少した。また,炭カル施与量の増大とともに土壌pHは上昇し,800kg/10a以上の施与量になると置換性Al^<+++>およびH^+は著しく減少した。このような土壌の理化学的変化が上述のサイラトロおよびスコフィールドの乾物生産量におよぼす影響を両草種の生理的特性との関係で検討した。赤褐色土。P施与量の増大とともに土壌中の可給態Pは増大したが,サイラトロおよびスコフィールドの乾物物収量に大きな変化は認められなかった。これは,本土壌のpHが両草種の生育にとって高すぎることに起因するものと考えられた。

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© 1985 著者
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