日本草地学会誌
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飼料作物の消化率に関する研究 : II.分げつ数を異にするソルガム(センダチとヒロミドリ)の細胞壁消化におよぼす栽植密度の影響
正岡 淑邦高野 信雄
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1985 年 31 巻 1 号 p. 117-122

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抄録

分げつ発生数の多いセンダチと少ないヒロミドリの2種類のソルガムを用いて生育の進行や栽植密度の違いが細胞壁構成物質(CWC)の生成やセルラーゼによるCWC消化率におよぼす影響を検討した。栽植密度は3段階で,うね幅と株間を30cm×5cm,60cm×10cm,90cm×30cmとした。1)センダチは出穂以後も単位面積当りの乾物収量が増加した。この増加部分は難消化性CWCが大部分を占めた。細胞壁中のヘミセルロースとリグニンの各構成比は生育の進行とともに増加し,セルロースは低下した。2)密植すると各品種とも葉身比は低下し,出穂や開花時期が数日早まった。3)センダチの分げつ茎のCWC含有率は主稈のそれと同様に密植すると増加した。分げつ茎のCWC分解率は主稈のそれと大差がなく,この部分によるCWC消化率向上の効果は小さいと考えられた。密植はCWC中のヘミセルロースとリグニンの構成比を増加させた。4)密植すると単位面積当りの乾物収量は増加した。しかし乾物消化率は低化するため,可消化乾物収量の密度差は小さくなった。以上より,ソルガムは密植するとヘミセルロースやリグニンなどの細胞壁物質の生成作用が活発になり老化が促進されると判断された。また,いずれの品種も分げつの有無にほとんど影響されず可消化乾物収量を最大にする適正密度が存在すると考えられた。

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© 1985 著者
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