日本草地学会誌
Online ISSN : 2188-6555
Print ISSN : 0447-5933
ISSN-L : 0447-5933
水酸化ナトリウム処理稲わらサイレージの消化率に及ぼす乾草およびグラスサイレージ併用の影響
高橋 正行
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1985 年 31 巻 1 号 p. 123-129

詳細
抄録

水酸化ナトリウム(NaOH)処理稲わらサイレージの効果的な利用法について検討するため,NaOH6%処理稲わらサイレージとイタリアンライグラス乾草(試験1),またはイタリアンライグラスサイレージ(試験2)との給与割合を乾物比で100:0,50:50,25:75および0:100の4区とし,山羊4頭を用いる4×4ラテン方格法により消化試験を行ない,併せて窒素出納を調べた。NaOH6%処理稲わらサイレージの粗蛋白質および粗脂肪以外の成分の消化率は,いずれも乾草またはグラスサイレージのそれらよりも有意に高かった。NaOH6%処理稲わらサイレージと乾草またはグラスサイレージとの併用区の各成分の消化率の実測値は,それぞれの単独給与区の消化率とそれらの給与割合とから算出した理論値よりも高く,併用効果が認められた。乾草またはグラスサイレージの消化率を一定として求めた,併用区におけるNaOH6%処理稲わらサイレージ部分のすべての成分の消化率は,併用飼料の給与割合が増加するにしたがって向上した。100:0,50:50および25:75の各区におけるNaOH6%処理稲わらサイレージの乾物中TDNは,乾草と併用の場合57.2,59.7および62.5%,グラスサイレージと併用の場合57.4,59.9および62.7%となった。グラスサイレージとの併用により,グラスサイレージ単独給与の場合に比較して窒素の利用性が向上した。以上の結果から,NaOH処理稲わらサイレージの利用に当っては,NaOH処理にもとづく本来の消化性向上効果をより十分に発揮させるためには,単独で給与するよりも他の飼料と併用することが望ましく,とくにグラスサイレージとの併用が効果的と考えられる。

著者関連情報
© 1985 著者
前の記事 次の記事
feedback
Top