抄録
バヒアグラス放牧草地において,ホルスタイン育成牛を用いた輪換放牧を行ない,草地の乾物重と構造の季節的推移について調査した。1.現存量は1年を通して,1,390〜1,890g/m^2の値で推移した。現存量中に占める器官別の分布割合は,穂で0〜1%,葉で1〜15%,茎で7〜18%,立枯で4〜14%,ほふく茎で22〜36%,根で35〜50%となった。この結果C/F比は5〜146という高い値を示した。2.地上部についてみると,大部分の乾物は0〜10cmの層に集中しており,茎と立枯が66%以上もの高い割合を占めていた。このことが群落の吸光係数を高める原因であると考えられた。3.植生の再生や草地の永続性が抑制されない限り,より下層の植生まで採食させることが,(1)家畜による採食量を増加させる,(2)地上部における葉の割合を増加させ,立枯の割合を減少させる,(3)群落の吸光係数を改善する可能性がある,などの理由から,バヒアグラス放牧草地における太陽エネルギーのより高度な利用のための草地管理法の1つであると推察された。