日本草地学会誌
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草地利用のための牧柵設計 : II.牧柵架線の弛みが放牧牛の脱柵行動に及ぼす影響
細川 吉晴
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1987 年 32 巻 4 号 p. 402-407

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抄録
牧柵架線に弛みがあれば放牧牛の脱柵行動がどのように行われるかについて,1群22頭で実験を行った。牧柵スパンの中央に10cmの弛みがある場合は,架線間への頭出し回数は弛みがない場合よりも1.3〜1.4倍多く,脱柵そのものの回数は4段張り牧柵よりも架線間隔の広い3段張り牧柵に多かった。こうした脱柵行動は,餌位置が1mのとき体高の38〜70%に当たる50〜90cmの架線間に多かった。また,コーナー柱が鉛直であれば架線が緊張しているため,頭出し回数はコーナー柱が約5度傾いた場合よりも多かったが,脱柵回数は架線が弛んだ後者の場合に多かった。さらに脱柵行動に伴う架線張力の変化は,弛みのない架線に顕著でその張力は47〜81%低下したが,弛んだ架線では張力の増減が若干生じた。したがって,脱柵行動を制御するには,全体的に50〜90cm間の架線を補強したり,コーナー柱を堅牢に設置すべきである。また,脱柵行動では脱柵経験牛や比較的体高の低い放牧牛が先導し,他の牛もこれに追随する群としての特徴が見られた。
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© 1987 著者
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