チモシー(TY)単播採草地から,早刈りにより可消化養分総量(TDN)65%以上の高栄養牧草を確保するための1番草の適切な刈取り時期を,またその後の2,3番草の刈取り適期を明らかにすることを目的として,刈取り時期・間隔・回数が乾物収量,TDNおよび雑草侵入に及ぼす影響について検討した。1.TYの構成割合は各試験区とも試験開始後3年目から減少し,シロクローバおよび地下茎型イネ科牧草(RG)の混生割合が高まった。特に,早刈り区と対照区(出穂期刈取り)とで大差はなかった。2.年乾物収量は早刈り区が対照区より常に劣っていた。これは早刈り区の1茎重が小さいことに起因すると推察された。3.TDN含有率は早刈り区が62-69%で対照区の62-63%より高かった。特に,早刈り区の中でも1番草を穂孕期から出穂期に刈取り,その後の2番草の生育期間を40日前後と短くした年3回刈り処理区が,1,2,3番草とも66-69%と高い値を示した。4.以上から,北海道根釧地方におけるTY単播採草地の早刈り管理法は,1番草を穂孕期から出穂始期に刈取り,2番草の生育期間を40日前後とし,さらに3番草を10月初旬に刈取る利用法が妥当であると考えられた。また,草種構成の推移,特にRGなどを含めた雑草の侵入には十分な注意が必要であると指摘した。