1996 年 42 巻 1 号 p. 42-46
大気候帯植生区分では日本は極相森林域に属する。日本に現存の草地は人為的遷移妨害によるとされていたが,農業の衰退で人為に期待できなくなった。しかし透水や流亡で有効水量低下が起きる箇所には草原草地が安定的に残る。こうした箇所が地殻変動帯沿いに多いので,日本最大の変動帯のフオッサマナ周辺における立地との関係を調査した。ここで取り上げた東縁線については位置が不確かで諸説並列の状況だが,若神子-岩村田の関東山地飯盛,荒船山周辺草地と平標から巻機山に至る屋根岩草原での透水良好な立地構造について述べた。日本海沿いはグリーンタフの下に埋没し断層の位置確認はできず,隆起台上の草地も良くないが,鳥海火山脈のはみ出し溶岩がのる区域の草地は安定していた。