放牧年数の異なるススキ型草地におけるススキの種子生産量と種子生産量の構成要素(穂密度,小花数/穂,結実率)の時間的,空間的変動の実態調査を通じて,ススキの種子生産に及ぼす放牧の影響を検討した。ススキの種子生産量は放牧利用年数が増すにつれて減少した。これは穂密度と小花数/穂の減少が主要因であった。結実率については処理牧区間で有意な差が認められなかったが,処理牧区内での変動は大きかった。放牧によって穂密度と小花数/穂は減少し種子生産量は減少するが,ススキの種子生産量の空間的な変動には,放牧以外の要因に影響を受ける結実率が大きく関与していることが明らかとなった。