日本草地学会誌
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乳牛におけるイタリアンライグラスロールベールラップサイレージの自由採食量と飼料成分, 第一胃内滞留時間, 消化率, 消化速度との関係
甘利 雅拡梅田 剛利上田 宏一郎柾木 茂彦寺田 文典阿部 亮
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2000 年 46 巻 3-4 号 p. 254-260

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抄録

刈り取り時期の異なる4種のイタリアンライグラスロールベールラップサイレージ(IRGサイレージ)を調製し, これらを供試して乳牛による自由採食試験, in vitro消化試験を実施した。IRGサイレージの1日当たり乾物摂取量(DMI日量)および代謝体重当たり乾物摂取量(MDMI)と飼料成分含量,第一胃内滞留時間, in vitro消化試験による総繊維(OCW)の消化速度との関係からIRGサイレージにおける乾物摂取量に影響を及ぼす要因を解析した。IRGサイレージのDMI日量およびMDMIは, それぞれ6.3〜9.4kg/日, 54.2〜79.8g/kg^<0.75>であった。DMI日量と飼料成分の関係では, 酵素分析法によるOCW, 低消化性繊維(Ob), 細胞内容物(OCC)と高消化性繊維(Oa)を合算したもの, 中性デタージェント繊維(NDF), 酸性デタージェントリグニン(ADL)との間にr=0.99〜1.00の高い相関が認められ, DMI日量はこれらの成分含量から求めることが可能となった。また, DMI日量と消化管内総滞留時間, 第一胃内滞留時間乾物消化率, OCW消化率との間にも高い相関が認められた。MDMIについても同様の結果であった。このことから, IRGサイレージのDMI日量およびMDMIは, 飼料成分含量から推定が可能であり, DMIを支配する要因として, 繊維成分含量, 第一胃内滞留時間および消化率があり, これらの要因が大きく影響していることが明らかとなった。

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© 2000 著者
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