日本草地学会誌
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蒸煮処理した小麦稈の自由摂取量, 消化率および反芻胃内滞留時間, 全消化管内充満度
阿部 英則山川 政明
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2000 年 46 巻 3-4 号 p. 261-264

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抄録

小麦稈を12kg/cm^2の圧力で5および10分間蒸煮し, めん羊を用いた消化試験を行って, 自由摂取量, 消化率および反芻胃内滞留時間, 全消化管内充満度を測定した。めん羊には体重kg当たり4gの大豆粕を併給した。10分間の蒸煮により, 小麦稈の自由摂取量は増加した。蒸煮処理により, 大豆粕を含めた窒素消化率は低下したが, 中性デタージェント繊維の消化率は向上した。TDNの含有率は5分間蒸煮した時が高かったが, TDNの摂取量は10分間蒸煮した時が最も多く, これは主として小麦稈の自由摂取量が高まったことによるものであった。10分間蒸煮した小麦稈は無処理と比べて全消化管内充満度が高く, 反芻胃内滞留時間が短かった。また, 密〓かさ密度とカッティングミルによる粉砕率も高かった。以上の結果より, 蒸煮により小麦稈は微細化され易くなり, 反芻胃内に密に詰め込まれる一方で, その内容物がすみやかに入れ替わると考えられた。そのことが10分間蒸煮した小麦稈の自由摂取量の増加をもたらしたといえよう。

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