放牧泌乳牛のエネルギー状態と行動の関係を明らかにするため,24頭の泌乳牛を用いて,補助飼料給与量によりTDN充足率を110%とする対照区(C区,12頭)と80%とする不足区(L区,12頭)を設定した。GNSSロガーと活動量計から得られた20秒間隔のデータから,放牧地における採食行動を比較した結果,C区に比べてL区では,採食時間,採食バウト持続時間および採食バウト内の連続摂食期の持続時間が長く,さらに,総移動距離,採食バウトおよび採食バウト内の連続摂食期の移動距離が長くなった。これらの行動の変化には時間帯による差異が存在した。本研究から,乳牛のエネルギー状態が放牧地での採食バウト内の連続摂食期の持続時間などに反映されていることが明らかになり,エネルギー不足個体の特定に向けた活用が期待される。