2011 年 34 巻 2 号 p. 2_39-2_48
本研究では60度の蒸しタオルと40度の蒸気温熱シートの2通りの方法を用いて,後頸部温罨法による心身の変化を比較した。閉経後の女性12名に対し,蒸しタオル条件,温熱シート条件,コントロール条件の3回,日を変えて実験を行った。実験前後で快-不快と眠気スケールを記載し,表面皮膚温(後頸部,手掌,足背),足底深部温,前額部深部温,心拍変動解析,皮膚電気活動は連続して測定した。20分間の基準値測定の後,後頸部温罨法(コントロールは乾いたタオル)を10分間実施し,温罨法後の経過を20分間(計50分間)測定した。40℃と60℃の後頸部温罨法は,後頸部の皮膚温を最高で41℃まで上昇させるが,身体に有害となる温度には至らず安全な方法であることが示された。どちらの方法も共に眠気のある快をもたらし,下肢末梢の温度を高く保持した。更に40℃では,コントロール条件に比べ皮膚電気活動を有意に低く維持しストレスを軽減させることが示唆された。