地理学評論 Series A
Online ISSN : 2185-1751
Print ISSN : 1883-4388
ISSN-L : 1883-4388
論説
原子力発電所の立地と地域社会・経済の再編成——福島県富岡町を事例に——
梶田 真
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 87 巻 2 号 p. 108-127

詳細
抄録

本稿では,福島第2原子力発電所が立地する福島県富岡町を事例に,原子力発電所の経済効果の世代間の差異に焦点を当て,原子力発電所の建設・稼働による地域社会・経済の再編および経済効果の変化の受容について検討した.主に文献・統計資料を検討した分析の結果,経済面では原子力発電所関連産業を中心とした構成に再編され,社会面では①在来住民,②原子力発電所の建設以降に流入・定着した住民,③流動性の高い短期在住者,の三つのグループに再編され,地方圏一般とは異なり,②や③の人口が大きな構成比率を占めていることが明らかになった.また,原子力発電所依存経済の時期限定性の問題は,このようなかたちで再編された地域社会の下で出現し,②のグループ,特に原子力発電所建設期に青年層として流入し,人口規模のピークを構成している1951~1955年生とその周辺のコーホートに最も大きな影響を与えていることも示された.

著者関連情報
© 2014 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top