地理学評論 Series A
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論説
数理計画法による中心地理論の体系化——単一財の立地について——
石﨑 研二
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2014 年 87 巻 2 号 p. 87-107

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抄録

本稿の目的は,数理計画法による中心地理論のモデル化の過程を通して,クリスターラーとレッシュの理論を再解釈することである.まず,レッシュの市場地域論を総需要最大化問題として定式化し,仮想地域においてモデルを適用した.その結果,成立閾の値に応じて市場地域の大きさが異なる理論的な中心地システムを導出できた.次に,対極的な目的である総利潤最大化問題を定式化し,二つの目的を統合する一般化モデルを提示した.多目的計画法を用いた一般化モデルは,①財の供給条件,②需要の距離弾力性,③重み付けの条件によって目的関数の構成が変わる.一般化モデルの配置原理から解釈すると,単一財の立地におけるレッシュとクリスターラーの理論は,前者が需要の最大カバーと総移動距離最小化を融合した総需要最大化問題,後者が総移動距離最小化と立地数最小化を多目的計画法で定式化した一般化メディアン問題として位置づけることができる.

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© 2014 日本地理学会
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