2018 年 91 巻 1 号 p. 1-23
本研究は,ニューヨーク大都市圏におけるコリアタウンを事例に,グローバルシティにおけるトランスナショナルな移住者の移住行動を明らかにしようとした.戦後の資本主義と新自由主義経済,アメリカの移民政策の変化は,ニューヨークにおいてさまざまな韓人移住者集団を発生させた.彼らは,アメリカでの永住を目標に1980年代までに移住した旧期移住者と,1990年代からトランスナショナルな移住を行った高学歴・高所得の新期移住者に分類できる.旧期移住者は集住地を経て郊外へ再移住しており,生活全般においてコリアタウンに依存する.一方で,新期移住者は大都市圏各地に分散して居住しながら,人的ネットワークの交差点,もしくは韓国式のサービスを得る場所としてコリアタウンを利用する.このような動きは,新興国の経済成長段階が移住者集団の性格を変化させ,その多様な移住者集団によって,グローバルシティの都市空間が変化していることを意味する.