地理学評論
Online ISSN : 2185-1719
Print ISSN : 0016-7444
ISSN-L : 0016-7444
人間川扇状地における堆積物と地下水起源との関係について
野村 闊
著者情報
ジャーナル フリー

1961 年 34 巻 1 号 p. 8-21

詳細
抄録

筆者は埼玉県入間川扇状地における232地点の井戸および土壌の調査から,水質の起源と扇状地構造についての考察を試みた.
入間川扇状地堆積物はいわゆる高崎-八王子構造線より東に分布している.扇状地基底部は第3紀層の頁岩,扇状地堆積物は砂礫および粘土の互層からなる.扇状地堆積物の厚さは40~50mで東方に漸減し,川越市鯨井付近で尖滅する.地形および水理的見地から,筆者はこの地域を5つの隆起面に区分した.これらの地形面は関東構造盆地の一部としての傾斜運動に影響されている.地下水の計測の結果からは,地下水堆・地下水谷・地下水の流動方向が確められ,実験室における分析の結果,地下水および土壌の化学成分の分布状態が明らかになつた.とくに,筆者は〓の値によつて人工汚染の影響を考察し,この地域の地下水を人工汚染地下水・非汚染地下水および混合地下水の種に分類した.最後に,それら地下水の起源と堆積物との関係を考察し,化学成分,とくに〓の値の分布から扇状地の地下の構成物質の性質を推定した.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top