地理学評論
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海浜堆積物の分布傾向からみた相模湾の漂砂について
荒巻 孚鈴木 隆介
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1962 年 35 巻 1 号 p. 17-34

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抄録
従来の漂砂の研究は室内実験によって間接的にその現象を求めたものや,現地観測によって直接的に漂砂現象をとらえた場合にも,機器によって比較的短時間のごく狭い範囲の状態を把握するに止まつたものが多かつた.こうしたことから,筆者らは海浜に堆積する砂礫を材料にして,時間的に積算された,かなり広い範囲の漂砂の状態を明らかにすることを試みた。その方法は海浜堆積物の中にみられる特徴的な海浜礫や海浜砂を中心にして,海浜に堆積する砂礫の分布状態(変異系列variation series) を精細に調べ,漂砂の実態を知ろうとするものである。
その結果,相模湾における漂砂について,つぎの諸点が明らかとなつた.1) 海浜堆積物の分布状態から漂砂の卓越方向を推定すると,相模湾における漂砂は東の方向に卓越して流動している. 2) 海浜礫は供給地から遠方に至るほど大きさを減ずるが,これには海浜礫として流動する際の波による磨耗作用がかなり大きく働きかけていると考える.また,海浜礫は汀線沿いに,時間的に断続しながら流動しているようである. 3) 相模川の東側に位置する南湖地区の海浜では,極端に扁平な円磨された礫が存在する.これと類似した形状の海浜礫は大磯地区でもみられるが,これはおそらく海浜の前面に存在する島嶼や岩礁の影響によって沖波が屈折し,沿岸力が異常に現われるためと考える.このような海浜では,波が収束し,弱まってくるが,一旦海浜に堆積した礫は長時間その場所に堆留し特異な形状に磨耗されるものであろう.
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