抄録
本州島の西端部に分布する,海岸の砂地形がつくられた文化期上の時期を系統的に明らかにするのがこの研究の目的である.その方法として,文化小期の明らかな遺物や遺構を,地質学における自然化石と同様に文化化石とみなし,確かな文化小期を示す土器を示準文化化石として取り扱い,必要な遺跡を発掘してそれらを含む各遺跡の文化層を検討した.これらのうち文化小期の確かな文化層を鍵層として,砂地形をつくる砂層の堆積相や,砂地形の分布・形態・構造などから解析し,それらを対比して,本地域における砂地形の砂層が堆積した文化期上の編年を行なうとともに,海岸に分布する砂地形の空間的な発達過程を明らかにして,現在の砂質海岸がつくられた時間的・空間的な発達の順序を系統的に跡付けた.さらに進めて,この研究の結果に基き,砂地形の形成期から推定される海面の相対的変化,沖積世の局地的地盤変動,居住帯の垂直的変化との関係,などについて考察した.