地理学評論
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宮城県鳴子盆地の地形発達史
小元 久仁夫
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1966 年 39 巻 8 号 p. 521-537

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抄録
火山地域における旧湖盆の地形学的研究の一つとして,那須火山帯に含まれる宮城県北西部の鳴子盆地を選び,地形や堆積環境の変遷を火成活動と地殼運動とに関連させて考察し,地形発達史を明らかにしようと試みた。 1) 鳴子盆地はその成因を第三紀の地殻運動に胚胎し,第四紀初期の地殻運動との重複や火成活動などの組合せによる“火山構造性陥没地”である. 2) 鳴子盆地の原形である“旧鳴子湖盆”は,洪積世後期には脊梁山地の隆起や埋積の進行により浅くなっていた.この頃から,鳴子火山の活動が盆地中央で活発になり始めた. 3) 旧鳴子湖盆の出現前から消失後にかけて間歓的な地盤の隆起があり,数段の侵食面や河成段丘面が形成された.これらの地形面の一部は,形成中やその後の地殻運動および火山活動の影響をうけて変位している. 4) 段丘・丘陵地形に変位を与えた地殻運動の一つは傾動運動と解され,その中心軸に対し“温湯—永志田構造線”を新たに想定する. 5)この地域に分布する火山灰は,大部分鳴子火山起源のもので,大学農場面以上に広く認められ,一部は東方で沖積面下に没している。
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