抄録
従来,電話の対地別通話交流は,電報・郵便と共に,ある特定の都市における商圏や都市勢力圏決定の1指標として,少数の人々によつて研究されてきたにすぎなかつた.それも都市の行政区域と異なる電話交換局の加入区域を調査単位として行なわれたものであるから,厳密なる意味での都市の商圏や都市勢力圏を表現するものではなかつた.
本論文は,これを行政区域単位に統計資料を組み替え整理をなして,通信を1指標として取扱うのでなく,通信それ自体を主体として,通信がいかなる地域に,どのような形態で発生しながら,いずれの各地域と交流して通信圏を形成しているか,そしてさらに,その通信圏形成の諸要因は何かといつた新しい理念のもとに未開拓の分野である通信地理学の立場から研究した.すなわち,電話が形成する通話圏がどのような地域構造を有しているかを,北海道に限定して,市町村ごとの各通話圏を類型化し,その各類型別の通話圏の分布とその通話圏の特徴を論じ,さらに全道における通話圏の階層配置がどのような構造になつているかを明らかにした.そして最後に,これらの通話圏の成立条件について論述したものである.