抄録
この論文は1960年8月10~12日に本邦を通過した11号台風による関東地方の降雨の分布を,全国気象旬報(気象庁),毎時降水量表=昭和35年後期=(東京管区気象台)所載の観測値に基づき,毎時雨量について調べ,その分布図48枚を描き,これと同時刻に撮影された気象庁および気象研究のレーダー写真を対比し,降雨分布の実態を明らかにしようとしたものである,
一般に台風時の雨は山岳地方に多く降る地形性降雨であるといわれているが,この際のは単純なそれではなく,強い南よりの風の吹きこみに伴い,伊豆・丹沢から足尾山地へぬける帯状の多雨域で形成され,これがレーダーエコーにも美事に対応している.同種の帯状多雨域は,これとほぼ平行して,房総半島から筑波へかけてと,赤石から上信山地へかけて3本形成されていた.地形性レインバンドである.なおその末端は脊梁山地で終っている場合が多い.