地理学評論
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中世末城下町論
松本 豊寿
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1965 年 38 巻 8 号 p. 485-500

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抄録
15C.以降の中世末城下町は完成期の近世城下町に対してはまさしく“初期城下町”なのである.これは戦国大名の分国領主制確立と共に城館下に建設された首都としての封建集落である.その給人居住域は中世家族屋敷村に,商工居住域は地方の市町に起源をもつ.中世末城下町は城下市町の都市的純化の発展度により“郷村的城下町”→“半都市的城下町”の系列をもつが,城下町の都市性に対する給人居住域の農村性の対立,こうした両者のアシバランスな地域構造が指摘される.このような城下部分域の双分的な都市域的合一以前の構造が初期城下町を通じての特色である.給人の中世的知行制,兵農未分離は城下給人居住域の消費都市域化への成長をこばむ基本条件である.中世末城下町の領入商圏は地方市町のそれに対する単なる相対的優位にとどまり独占的商圏を形成するものではない.城下町における一般市場の未熟の上に乗る偏倚的な領主市場の結合は,領内商圏と領外商圏の恒常的な対応的結節作用を妨げる.こうした商圏の諸性質は経済センターとしての城下町の限界を規定し,大型城下町への発達の支障条件となる.豊臣政権下の城下町は従来の中世的なものに対する否定と止揚が指向されるが,これはやがて“都市的城下町”としての近世城下町への道を開いてゆくものである.
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