抄録
土壌は環境諸因子の総合作用の結果として生成する自然体であるという成因論的土壌観にたち,南アルプスの山岳地を例として,土壌型の分布と,地形・気候・植生などの土壌生成因子との対応関係を調べて,土壌分布,とくに垂直分布の法則性を探り,その結果を利用して,推定土壌図の作成を試みた.南アルプスの山岳地域に分布する土壌は,褐色森林土とポドゾル土が大部分であるが,その各土壌型は標高,地形型,堆積様式,斜面方向,傾斜度,母材,植生,接地気温などの環境因子と密接に関連した分布を示している.褐色森林土は低山帯および亜高山帯下部にて,主として地形因子によって規定された分布様式を示す.ポドゾルは主として(接地)気温と植生によって,その分布が規定されている.その下限は年平均気温が4°C前後のところに位置するが,地形型および傾斜度によってかなりの偏倚をうける.垂直的にみると, (BE) BD (BC)-(BA)BB-PDの順で,低いところから高い方へ分布するが,その分布範囲は地形型,傾斜度,斜面方向によって異なる.垂直分布様式を模式的に図によって示した.最後に空中写真,地形図を利用しての推定土壌図作製の試みを示した.