地理学評論
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三浦半島荒崎海岸の波蝕棚にみられる洗濯板状起伏の形成について
鈴木 隆介高橋 健一砂村 継夫寺田 稔
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1970 年 43 巻 4 号 p. 211-222

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抄録

調査地域の洗濯板状起伏は,その尾根部が凝灰岩層,谷部が泥岩層からなる.泥岩には微小な節理が著しく多いが,凝灰岩には存在しない.本地域の泥岩は凝灰岩にくらべて圧縮強度,弾性波速度,衝撃・摩耗硬度が大きい.また,吸水膨脹歪と膨脹圧は泥岩の方が著しく大きい.以上のことから,洗濯板状起伏は,岩石の圧縮強度や衝撃・摩耗硬度といったいわゆる“かたさ”あるいは“つよさ”の差異に起因するのではなくて,基本的には,含水状態の変化に伴う膨脹・収縮歪の差異が節理の発達状態の差異に関連し,節理で分離した泥岩の小岩片が波で持ち去られるといった機構で生じたものと解した.

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