西南日本内帯の丹波山地や中国山地には,山頂や山腹そして山麓部に種々な小起伏面が存在し古くから研究の対象とされてきた.そして近年はこれらが気候地形の立場からも問題とされるにいたっている.筆者はこの中の山麓部に存在するものについて若干の考察を行なったのでここに報告する.
研究地域は丹波山地の西南部で,兵庫県篠山盆地の西南にある.この地域はほとんどが流紋岩質の凝灰角礫岩を主体とした酸性の火山岩類である.また東北-南西,ついで南-北の方向の構造線が著しく発達していて,山麓緩斜面はこれらの構造線に沿って発達している.山麓緩斜面は,急傾斜の山腹斜面との間に明瞭な遷急点をもって境され,凹形の縦断形を示す.平面的には谷の方向に沿って細長くのびている場合が多い.構成物質は基盤岩石の風化生成物や崖錐状堆積物である.また緩斜面はこれらの構成物質の堆積面ではなくて,概括的に言って,基盤岩石が風化・侵蝕を受けたところの侵蝕面である.
山麓緩斜面の形成営力や機構,そして形成年代については将来の研究によって解明したい.