地理学評論
Online ISSN : 2185-1719
Print ISSN : 0016-7444
ISSN-L : 0016-7444
姶良カルデラ北方の入戸火砕流堆積物とその地形
横山 勝三
著者情報
ジャーナル フリー

1970 年 43 巻 8 号 p. 464-482

詳細
抄録

姶良カルデラ北方に分布する入戸火砕流堆積物の堆積面は,v般のカルデラの場合と異なり,その噴出源である姶良カルデラの内側へ向って緩傾斜で低下している.堆積面のこうした高度分布の原因を知るために,堆積面の形態,堆積物の産状,地質構造などを調べ,溶結作用および地盤運動の影響などを検討した.
溶結に伴う堆積物の収縮量(堆積面の低下量)は,最大でもせいぜい30mであり,堆積面の全体的な高度分布を著しく変えるほどの量ではない.
入戸火砕流の堆積後,それを変位させたような顕著な地盤運動が起こった証拠はない.
堆積面の全体的高度分布,火砕流堆積物全体の厚さ,溶結部の厚さ,溶結程度などは,全体として姶良カルデラの方へ向って開いた湾状の基盤地形と良く対応して変化する.
以上の事実から,入戸火砕流堆積物の堆積面がその噴出源の方に向って傾いている原因は,この火砕流がおおまかな基盤地形に対応して堆積した結果であると考える.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top