抄録
ヒ素汚染水の浄化に利用された吸着材は,それ自体が多量のヒ素を含有することになるため,非意図的あるいは不法投棄等により適切な処理が行われずに環境中に放出された場合,使用済吸着材からのヒ素溶出による二次的な環境汚染を引き起こす懸念がある.それゆえ,使用済吸着材の環境安定性を評価する必要がある.
本研究ではマグネシウム系及びカルシウム系の使用済ヒ素吸着材を用いた土壌混合振とう試験を実施し,得られたデータに基づいて検討を行った.その結果,Mg系及びCa系酸化物及び水酸化物は非常に高い環境安定性を持つことが明らかにされ,それらの中でもMgO系吸着材が最も優れていることが示された.一方,MgCO3系使用済吸着材の環境安定性はかなり低く,特に砂質土壌共存下においてヒ素溶出による環境汚染を引き起こすリスクが高いことが示唆された.