地理学評論
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四国中央北縁部における中央構造線の第四紀断層運動
岡田 篤正
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1973 年 46 巻 5 号 p. 295-322

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抄録
雄大な規模をもつ石鎚断層崖とその北麓域において,地形・地質調査を行ない,中央(構造)線の諸特徴を調べ,その新第三紀以降,とくに第四紀の断層運動の基本的性格の解明に努めた.断層面は狭義の中央線では30。N位か,やや急傾斜であるが,北側を並走する活断層系では垂直に近く,両者は地下では合流し,一連の剪断帯を形成している.崖麓に沿って活断層が連なり,各種の変位地形がこれに伴っている。とりわけ横ずれ変位地形が各所でみられ,右ずれの卓越した断層運動が示唆される.この活断層系は砥部・菖蒲谷時階以後の第四紀になって発現した.随伴する垂直変位によって,石鎚断層崖も形成されてきた.右ずれも垂直変位も一定方向への累積性がみられ,その平均変位速度はほぼ等速度か現在に向かってわずかに加速してきているようである.北麓域では右ずれ運動に伴われた規模の異なる波曲状変形が認められるが,石鎚断層崖の形成のような運動様式とは一.桁小さい.西南日本では第四紀以降に始まるほぼ東西方向の最大圧縮軸をもつ広域応力場のもとで,中央線(活断層系)が再活動し,右ずれの卓越した変位を繰返してきた.
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