地理学評論
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長野県鹿教湯療養温泉集落の形成と構造
山村 順次
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1976 年 49 巻 11 号 p. 699-713

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抄録
本研究では,伝統的な小療養温泉地に近代的温泉療養所が開設された長野県鹿教湯温泉を例として,温泉集落の形成過程と機能・構造の変化を追求し,一般的には停滞または衰退してきている療養温泉が地域社会の発展に大きくプラスしたことを明らかにした.湯量の少ない共同湯を核に成立した閉鎖的外湯旅館集団は,新しい大量の温泉湧出に際しても,まず長野県厚生農業協同組合連合会の温泉療養所を誘致して療養温泉地としての充実を図ったが,このような地域の側の開発姿勢が療養温泉地発展の基本要因をなした.それに伴って,農民のための冬季集団保養が実施され,夏季には東京からの老齢湯治客が集中して入湯客の地域的季節配分が合理的になされるようになると,周辺農家の観光産業への転換が顕著となった.また丸子町当局は外来資本の進出を避けるために,温泉開発の主導権を握って温泉統合をなしとげ,ここに歓楽化を排除した療養温泉集落の機能が一層強められたのである.
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© 公益社団法人 日本地理学会
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