地理学評論
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川口市における鋳物業集団の構造
竹内 淳彦
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1976 年 49 巻 12 号 p. 780-791

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抄録

京浜工業地帯の一画をなす川口市は,鋳物業の町として古くから栄え,現在も鋳物業とそれを母体とした機械・金属工業が発達している.鋳物業は市の南部に機械・金属・木型などの工業と重合しながら分布し,しかも,それらの工業と生産工程上強く結合し,また,多くの下請群をもちながら鋳物を中心とする産業集団を形造っている.、一方,その納入関係は京浜全域に広く及び,京浜機械工業の核の1つとして特異な機能を担っている.鋳物を中心とする工業生産は,強い地縁関係をもつ経営者や従業者によって支えられており,その多くは南部の産業集団内部に居住し,職・住一体化した「産業地域社会」を形成している.このように,全体としては住宅地域化が進行している川口市の内部で,南部は他の地域とはまったく性格を異にしている.この産業地域社会の存在が,川口鋳物業を存続・発展させる重要な基盤となっている.

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