地理学評論
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四国山地における集落移転とその諸問題
徳島県木頭村と愛媛県日吉村の事例
篠原 重則
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1976 年 49 巻 4 号 p. 217-235

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抄録
本研究は,過疎対策の一環として行なわれている集落移転の実態とその問題点を四国山地の2つの村に事例を求めて究明することを目的とした.
事例研究地の対象とした徳島県木頭村は,西日本有数の林業地帯である.大山林地主の林業労務によって生計を維持する山間僻地の小集落の住民は,役場付近の新集落への移転には容易に応じたが,共同体的性格の稀薄さから住民意識は統一されず,脱落集落や脱落住民も出た.一方,愛媛県日吉村は,林業地帯としての発展が遅れ,共有林を媒介にした共同体的性格の濃厚な山村である.移転対象集落の住民は,役場付近の新集落への集団移住には容易に応じたが,共同体的性格の強さから新集落には融合していない.
両村における集落移転事業は,移住者には社会生活上の便利さを,行政当局には住民への社会サービスの負担軽減をもたらしたが,移住者は移転前の山間地へ林業労務や自営通勤林業に通うものが多く,その経済活動には問題点が多い.
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