地理学評論
Online ISSN : 2185-1719
Print ISSN : 0016-7444
ISSN-L : 0016-7444
丹沢山地東北部における最近の山崩れに起因する浸食量の推定
田中 正央森 正樹
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 49 巻 4 号 p. 236-248

詳細
抄録
丹沢山地東北部の2地区,それぞれ3km2と4km2について,精確な崩壊地分布図(縮尺5千分の1)を1946年および1971年撮影の空中写真から作成した.
既往の資料に基づき, 1つの中小規模の山崩れによる崩壊量を2m3/m2, 山崩れ後の崩壊裸地での岩屑生産速度を3×10-2m3/m2・year, 植被におおわれた崩壊地での岩屑生産速度を10-3m3/m2・year, 山崩れを生じたことのない植被地の土壌浸食速度を10-4m3/m2・yearと想定し, 1946年以後生じた山崩れの発生と崩壊地のその後の変遷を考慮して,最近25年間の調査地における浸食量を求めた.
この山崩れは5年に1回発生しているとすれぽ,この25年間の年平均単位面積当りの浸食速度は, 103m3/km2・yearのオーダーである.こ一の値は,ダムの堆砂量から求められた日本各地の山地の浸食速度の比較的大きな値と等しい.
調査地域の山崩れは小規模なものであるが,数年間隔で発生しているとみられる.こうした山崩れや土壌浸食等は,いわば定常的な浸食作用であり,それが累積すると量的には発生間隔の長い大規模山崩れに匹敵する効果を持つと考えられる.
著者関連情報
© 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top