地理学評論
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比較形態学的方法による段丘崖斜面発達の研究
野上 道男
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1977 年 50 巻 1 号 p. 32-44

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抄録
十勝平野歴舟川流域に分布する,時代を異にする河岸段丘崖の斜面形態を計測し比較することによって,地質時代を通じて斜面はどのように発達してきたのかを明らかにしようとした.
斜面は上部凸斜面部,直線部,下部凹斜面部からなる。凸斜面部は最終氷期の周氷河気候下で活発であった土壌葡行によって形成されたものと推定される.直線部のプロセスは凸斜面部のプロセスほど気候変化の影響を受けなかった.直線部の傾斜は最近の10×104年間継続的に減小してきている.
低い崖の場合には上部凸斜面が下部凹斜面と直接接合する.このような場合には最大傾斜角は崖の比高の影響を受ける.十分高い崖の場合には中間に本来の意味での直線部が存在する.この直線部の傾斜角は崖の比高の影響を受けない.いずれの場合でも崖は減傾斜後退する.直線斜面が平行後退するためには崖の基部で河川による側刻あるいは下刻が不可欠であろう.
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