西独における外国人労働者の地域的分布の動態に関して,すでに少ないながらもいくつかの研究がある.しかし,それらはいずれも看過できない問題を含んでおり,この点について論評を試みた.しかる後,手元にある資料を用い,外国人労働者総体,イタリア人,ギリシア人,スペイン人,ユーゴスラビア人,トルコ人の1965年以降の分布を,絶対的集積と相対的集中の二つの視角から明らかにした.国籍集団により,あるいは年次により多少異なった分布パターンがみられるが,基本的にはいずれも類似したパターンを描いている.これを説明するためには, Gieseらが用いた拡散モデルよりも,政治的・社会的・経済的背景を明らかにしなければならない.本稿では,特に外国人労働市場に注目し,その制度的枠組を検討することによって地域的パターンの説明を行なった.